


専門知と身体をつないで、「ひと」を感じる回路をふやす
オンラインワークショップ〈専門知シリーズ〉
「多様性を大事に」というけれど…
今世紀、社会は“経済成長”から“持続可能性”へと大きく舵を切りました。
SDGsを筆頭に、ダイバーシティ&インクルージョン、“誰ひとり取り残さない”といったキーフレーズをあらゆるところで目にします。
でもそれは、私たち一人ひとりの生き方にどこまで浸透しているでしょうか。
—— 社会の差別は批判するのに、自分や身近な人の中にある不平等には目を向けない。
—— 多様さを大事にしようと言いながら、現実の問題よりも「美しい物語」に心を奪われている。
表向きのパフォーマンスと実態が乖離していくのが人の世の常で、私たちは多かれ少なかれ「そんなものだ」と慣れることで、その矛盾に適応しています。
それは一見、平穏で調和的にみえて、しかし「持続可能」ではありません。
異なる経験に共感する、頭とからだの回路づくり
日々の暮らしの中にある人やモノとのささやかな出会いをからだに刻み続けること。
客観したり誰かの考えを借りるより先に、自分で自分の感じ方をつかまえながら考えること。
そうした経験の回路は、自分ではない誰かが泣くこと、離れた場所にある何かが壊れていくことについて、自分のからだを通して痛みを感じ、その痛みから離れずに思考する基盤でもあります。
このワークショップでは、ひとりの人のからだを通った専門知と感じ考え方の技法が、ひとつの経験のキーとして提示されます。
参加者はそのキーを手に、それぞれの生活の中で新しい経験の仕方を試みます。
その経験を自分のことばで表現して、他の人の異なる経験にも出会う。
未知の分野の学びを通して、「新しい共感のかたち」を一緒に考えてみませんか?
・未知の専門分野と「ひと」について視野を広げたい
・手応えのある学びをしたい
・自分らしい経験の仕方を見つけたい
・自分の経験も人の経験も大事にできるようになりたい

〈専門テーマ〉
生命の小さなパーツと、地球環境のつながりを体感する
私たちが暮らすこの地球には、太古からの長い長い歴史があって、その過程には、数万年から数億年単位で起こる地形の変容や、ダイナミックな気候変動があります。それを教えてくれるのは、長い時を経て化石として残されたわずかな物質で、なかでも「微化石」と呼ばれる深海に生息する微小な生物の化石群は、当時の海と気候の特性を現代に伝える重要な記録媒体(メモリー)です。微化石には、こんにちの私たちを取り巻く地球温暖化のヒントも含まれていて、過去何万年もの昔から現在までの気候変動の歴史を解き明かし、今後の予測に貢献する研究の手がかりとされています。
数万年後も残りうる「小さな化石のもと」を実際に探し出しながら、大きな地球と気候変動に思いを巡らしてみましょう。
★ このワークショップには、食用魚から耳石を取り出す課題が含まれます。

プレゼンター
古気候研究者。博士(理学)。国立科学博物館・地学研究部環境変動史研究グループ研究主幹。
「微化石」と呼ばれる微小なサイズの化石を分析し、過去の気候変動•海洋変動、特に日本周辺の気候や海の環境が、数千、数万年単位でどのように変わってきたかを明らかにする調査研究を行なっている。近年の調査では、日本人のルーツに迫る「3万年前の航海 徹底再現プロジェクト」に参加、3万年前の黒潮の詳細を海底から採取した微化石の調査によって明らかにした。

〈専門テーマ〉
数式から生まれる形ならではの面白さを体に取り込む
私たちの身の回りにはさまざまな種類の物理的な「かたち」があり、私たちは何気なくかたちに出会って、眺めたり、触れたりしながら生活しています。それに対して、現実にはあり得ないのが「数学のかたち」。
数式を使って生み出される形態は、不思議であやうい魅力を放っています。その面白さは、多様な姿に変容可能で、見る視点によって表情がくるくる変わること。
数学の概念を通して出会うかたちの面白さを、実際に手を動かしながら、見て、感じて、一緒に考えてみませんか? 日常の風景の中にあるかたちの見え方が変わり、「答えを導き出す方法」として教わった数学が、実はとても自由で、創造性を呼び覚ましてくれるものだったということに気がつくはずです。
★ このワークショップではGeoGebra(数学教育用webアプリ)を使って立体図形作成し、簡単なスケッチをします。

プレゼンター
瑞慶山 香佳 Yoshika Zukeyama
美術作家。
日常の世界にない立体図形を生み出す数学概念に魅了され、数学のかたちをモチーフにした作品制作の方法論を考案。とくにトポロジー、非ユークリッド幾何学への関心が深い。
数学デッサン作品で2019〜2020年度の『数学セミナー』(日本評論社)の表紙を担当。著書に『数学デッサン教室-描いて楽しむ数学のかたち-』(技術評論社)。
「その人だけの経験を学び、私とあなたの経験も知る」対話の場づくり
ファシリテーター
片岡 杏子 Kyoko Kataoka
教育研究者(KATAOKA-labo運営)。さまざまな立場と属性の人が独自の経験を表現するためのしかけの開発と対話場面の研究を行っている。人の育ちの初期の表現と主体形成を論じた著書に『子どもは描きながら世界をつくる』(ミネルヴァ書房)。

参加のお申し込みにあたって
● お申し込みの方法
・このワークショップへの参加申し込みは、参加するご本人がPeatixでチケットを購入して行います。テーマごとに表示されている参加費は全3回の合計額です。
・原則として購入されたチケットの払い戻しはありません(運営者の都合によりワークショップが全回実施不可能となった場合に限り、Peatixを通じて参加費を全額払い戻します)。
● 実施日程について
・ワークショップは、チケット購入時に予定されている3つの日程で実施されます。
・万が一、天災・停電・通信障害、ファシリテーターまたはプレゼンターの事故・発病等のやむを得ない事情により3回のうち1回を実施できない場合は、チケット購入時に指定した予備日に1回の日程を振り替えて実施します。
・ワークショップは参加者が全回出席することを前提に進行しますが、途中欠席した方へのフォローアップ録画を期間限定で共有します。
● 参加のためのご準備のお願い
・できるだけ安定したインターネット環境でご参加ください。
・ビデオ会議システムZoomの設定とwebカメラ・マイク等の設定をお願いします。
・ワークショップ内でチャットやホワイトボード機能を使用するため、PCまたはタブレット環境での参加を推奨します。
・ワークショップには対話が含まれます。ご自身のカメラをオンにできる環境でご参加ください。
・参加者ご本人のお名前でご参加ください(漢字・平仮名・アルファベットなどの表記は自由)。
・当日は10時から参加受付・設定・Zoom操作の練習などを行います(ワークショップ本編の開始は10時10分から)。
・ワークショップ初回の前日正午までにZoomのアクセス先URLをPeatixからお送りします(届かない場合はPeatixのメッセージボックスからお問い合わせください)。
● お子さんと共同参加される場合は…
・親御さま1名につき子ども1名の参加が可能です。2人でひとつの画面からご参加ください。
・ワークショップは大人の方をメインの対象として難易度を設定します。難しい説明があった場合は、お子さんと一緒にプレゼンターへの質問を考えたり、親御さんからフォロー説明をしていただくなどしながらご参加ください。
● 以下の行為は禁止です
× ワークショップの内容の録音・録画。
× ワークショップの中で共有される資料やプログラムを参加者以外の方と共有すること。
× ワークショップ内で知り得た他の参加者の個人情報を、ご本人に無断で参加者以外の方と共有すること。
× 参加者ご本人以外との参加チケットの共有。
× ZoomのURLやフォローアップ動画の参加者以外の方との共有。
● その他
・Peatixのイベントページに掲載されている内容の詳細と参加規約(→リンク)をご確認のうえ、お申し込みください。