大きな壁が子どもの動きを引き出す


園舎を建て替えたばかりの保育所にお邪魔したときの一コマ。


建物一階の玄関を入ってすぐの壁に、新しい、大きな黒板が備え付けられていました。


まだまっさらのピカピカだったのですが、保育者さんがちょうどこれからの環境づくりについて話し合っていたところで、「描き初めしちゃおうか」ということになり…


「使っていいよ」とチョークを渡された子どもたちが、意気揚々と壁面に向かっていきました。


伸び上がったりしゃがんだり、手を大きくぐるぐる回したり、勢いをつけて壁に突進しながら描いたりしています。



「環境の特性が人の行為を導く」ということをアフォーダンス(affordance)という造語で言い表したのは、知覚心理学者のJ.J.ギブソンでした。


ギブソンになぞらえて言えば、たとえば床に敷かれた紙は「しゃがんで描く」ことを誘発し、「大きな壁面」は立ちながら伸び上がって描くことを誘発します。


この壁は、園舎の設計していた園長さんの「エントランスに黒板があって自由に描けるといいな」という願いが実現したものです。なにしろ大きいので、これからいろんな使い方、遊び方ができそう。



しばらく描いて遊んでいると、背後の自動ドアがガーッと開き、業者さんやお迎えのお母さんたちがやって来て、「アラ、いいねえ!」と笑顔になりました。


環境によって遊びが引き出された後には、遊んだ痕跡もまた環境のひとつになる…というお話です (^_^)














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『子どもは描きながら世界をつくる

 ​エピソードで読む描画のはじまり

片岡杏子 ミネルヴァ書房

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